ひとりでも、今日から売れる
本を出すには、出版社に企画を持ち込んで、印刷して、書店に並べてもらう。少し前まではそれが当たり前でした。いまは、PDFの本なら、自分で作ったその日のうちに売り出せます。
ヒトリキカクは、BOOTH(ブース)を使っています。イラストや手作りの品、デジタルの作品などを、個人が自分のお店を開いて売れるサービスです。PDFのようなダウンロードの商品も扱えます。
この章も第5章と同じく、あなた自身の手でやることが多い章です。お店を開く手続き、売上を受け取る口座の登録、商品の公開のボタンは、あなたが行います。AIには、決めることの相談と、文章や画像づくりを手伝ってもらいます。
手数料と手続きについて
BOOTHでお店を開くには、運営会社のアカウントが必要です。売れたときにかかる手数料や、売上を受け取る方法、税金の扱いは、変わることがあります。申し込む前に、BOOTHの公式の案内で確かめてください。口座の番号やログインのパスワードは、AIに見せません。
売り出す前に決めること
- 誰に向けた本か:第4章でページを作ったときと同じです。この本を手に取ってほしい人を、一人思い浮かべます。
- 商品名:何の本かが、名前だけで伝わるか。同じ名前の商品がすでにないか。
- 値段:ページ数や手間だけでなく、似た商品の値段や、買う人が気軽に手を出せるかも考えます。
- 何が入っているか:ページ数、大きさ(A4・A5)、ファイルの形式。
頼み方の例
商品名や値段は、AIに案を出してもらってもかまいません。けれど、最後に決めるのはあなたです。自分の名前で売るものだからです。
商品ページの材料をそろえる
BOOTHの商品ページには、主に次のものを載せます。
紹介文をAIと書く
紹介文は、AIが得意な仕事のひとつです。ただし、本に入っていないことや、言い過ぎを書かせないように気をつけます。
頼み方の例
ヒトリキカクは、できた文章を声に出して読むようにしています。自分のことばとして言えるかどうかが、いちばんの確かめ方だと思うからです。
画像をAIと作る
商品ページでまず目に入るのは画像です。表紙だけでなく、中身のページの見本があると、買う人は安心できます。
画像も、プログラムで作ることができます。PDFのページを画像にして、商品ページに合った大きさに並べ、ひとこと説明を添える。そういうプログラムをAIに作ってもらえば、本を直したときにも、画像をすぐに作り直せます。
頼み方の例
公開する
材料がそろったら、BOOTHの管理画面で商品を登録して、PDFのファイルを上げ、公開します。ここはあなたが操作します。
公開したら、自分で買う人になったつもりで商品ページを見てみます。スマホでも開いて確かめます。紹介文に誤字はないか。画像の順番はわかりやすいか。値段は合っているか。
発売したあとで直すとき
PDFの本のよいところは、発売したあとでも直せることです。誤字を見つけたとき、情報が古くなったときは、第7章のとおり原稿を直して組み直し、BOOTHの商品のファイルを新しいものに差し替えます。
BOOTHのダウンロード商品は、買った人が自分の購入履歴からファイルを受け取るしくみです。ファイルを差し替えれば、あとから受け取る人には新しい版が届きます。くわしいしくみは、BOOTHの案内で確かめてください。
頼み方の例
本の最後の奥付に「第2版」「2026年11月更新」のように書いておくと、買った人が自分の持っている版を確かめられます。
お店とサイトをつなぐ
BOOTHに出しただけでは、第6章で見たように、なかなか見つけてもらえません。あなたのサイトに案内のページを作り、BOOTHの商品ページへのボタンを置いておきます。サイトから来た人が、そのまま買いに行けるようにするためです。SNSでの告知は、第12章でくわしく扱います。
ヒトリキカクの場合
ヒトリキカクのBOOTHのお店では、2026年10月に英文法の参考書「Grammar Note」を、続けて「冒険手帳 2027」を売り出しました。紹介文はAIと一緒に下書きし、自分で読み直して整えました。手帳の紹介文では、実際に試していないアプリについては「利用を想定」と書いています。商品ページの正方形の画像は、PDFのページから切り出すプログラムで作りました。
Grammar Noteは、発売の次の日に見出しの取り残しを直した版を作り、BOOTHのファイルを差し替えています。サイトの「Grammar Note」のページは、もともとWeb版の参考書でしたが、発売にあわせてPDF版の案内ページに作りかえました。
つまずきやすいところ
- 紹介文で言い過ぎる。AIは前向きな文章を書きがちです。本に入っていないこと、確かめていないことは書きません。
- ファイルの差し替えを忘れる。原稿とPDFを直しても、BOOTHのファイルを替えなければ、買う人には古い版が届きます。
- 中身が見えない。表紙の画像だけでは、買う人は中身を想像できません。見本のページがあると、ぐっと伝わります。
あなたなら、どうする?
- いくらなら、あなたは納得して売り出せますか。その理由も考えてみてください。
- AIが書いた紹介文を、あなたは声に出して自分のことばとして言えますか。
- あなたの本を、いちばん最初に手に取ってほしいのは、どんな人ですか。
ヒトリキカクが大事にしたこと
正解ではなく、ひとつの例です。あなたのやり方と、くらべてみてください。
- 手続き・口座・公開のボタンは自分の手で。口座番号やパスワードはAIに見せない
- 誰に向けた本か、商品名、値段、中身を決めてから売り出す
- 紹介文と画像はAIと作り、言い過ぎがないか自分で確かめる
- 直したら組み直して、BOOTHのファイルを差し替える
- サイトに案内のページを作って、お店とつなぐ
これで第3部「PDFの本を作って売る」はおしまいです。次の部では、iPhoneのアプリを作ったときのことを書きます。