Webページを作れたら、本も作れる
第2部では、HTMLとCSSでWebページを作りました。実は、同じHTMLとCSSで、PDFの本も作れます。
ブラウザには、開いているページを印刷する機能があります。そこで「PDFに保存」を選ぶと、ページがPDFになります。この「ページをPDFにする」作業を、プログラムで何十ページ分もまとめて行えば、1冊の本ができあがります。
そのプログラムを書くのは、もちろんAIです。あなたは、どんな本にしたいかを決めて、できたPDFを確かめます。第1章の「決める・書く・確かめる」は、本づくりでも変わりません。
しくみの全体図
- 原稿Webページの形(HTML)で書く。章ごとに1ファイル。
- 組み立てAIが作ったプログラムが、原稿を順に読んで本の形にする。
- PDFブラウザのしくみでPDFにして、ページ番号やしおりをつける。
この形にしておくと、よいことが3つあります。
- 同じ原稿から、WebとPDFの両方が作れる。この本も、Web版とPDF版を同じ原稿から作る予定です。
- 直すのが楽。誤字を見つけたら原稿を1か所直して、もう一度組み立てるだけです。
- ページが多くても大丈夫。100ページでも400ページでも、組み立ての手間は同じです。
組む前に決めること
本の形は、あとから変えると手間がかかります。ヒトリキカクがA4とA5で迷ったように、AIに頼む前に考えておきたいことがあります。
- 大きさ:A4か、A5か。画面で読む人が多いのか、印刷する人が多いのか。
- 入れるもの:表紙、使い方、もくじ、本文、さくいん、奥付(著者や発行日を書く最後のページ)。
- リンク:もくじから各章へ飛べるようにするか。PDFの「しおり」をつけるか。
- 色と文字:本の雰囲気。使う文字(フォント)が、配ってよいものか。
フォントの注意
PDFには、使った文字の形(フォント)が埋め込まれます。売る本に使うフォントは、商用で使ってよいものかを確かめてください。無料で商用利用できるフォントも多くあります。迷ったらAIに「このフォントは売るPDFに使えますか?」と聞き、最後は配布元の説明を自分で読んで確かめます。
ヒトリキカクの進め方:試作の1ページから
ヒトリキカクは、ここでも第3章の「提案 → 試作 → 確認」で進めました。いきなり全部の章を組ませず、まず1章分だけPDFにしてもらう方法です。
1. 作り方を提案してもらう
頼み方の例
「原稿のファイルは書きかえずに」と書いておくのが大事です。原稿は、Web版にも使う大切なものです。組み立てのプログラムは、原稿を読むだけにしてもらいます。
組み立てには、Python(パイソン)というプログラムを動かす道具などが必要になることがあります。入れ方がわからなければ、AIに手順を聞きながら入れます。
2. 1章だけ試作する
頼み方の例
3. 開いて確かめる
できたPDFを開いて、1ページずつめくります。Webページと違って、PDFにはページの区切りがあります。画面ではきれいだったものが、ページの変わり目で切れてしまうことがあります。
- 見出しだけがページのいちばん下に残り、中身が次のページに行っていないか
- 表や囲みが、ページの途中で切れていないか
- もくじのリンクを押すと、ちゃんとその章に飛ぶか
- ページ番号が、もくじと本文で合っているか
- 余白が狭すぎて、印刷すると文字が切れそうになっていないか
気になるところがあれば、何ページの、どこが、どうなっているかを伝えて直してもらいます。よければ、「この形で、全部の章を組んでください」と広げます。
直したら、もう一度組む
本ができてからも、誤字や、変わった情報を直すことがあります。そのときは、PDFを直接いじらず、原稿を直してから組み直します。PDFを直接直すと、次に組み直したときに、その直しが消えてしまうからです。
頼み方の例
確かめ方そのものも、AIにプログラムにしてもらえます。一度作っておけば、組み直すたびに同じ確認ができます。
ヒトリキカクの場合
英文法の参考書「Grammar Note」は、もともとWebで公開していた原稿から、PDFの本に組み立てました。表紙、もくじ、25の項目、さくいん、奥付まで、112ページです。最初はA4とA5の2つの大きさで作っていましたが、途中でA4だけに絞りました。発売したあとで、「例文で確認」という見出しだけがページの最後に残っている所が13か所見つかり、AIと一緒に組み立て方を直しました。いまは、組み直すたびに、取り残しがないかをプログラムで確かめています。
手帳の「冒険手帳 2027」は、400ページを超えるリンクつきのPDFです。毎日のページに物語の1場面があり、物語の選択肢を押すと、続きのページに飛ぶようになっています。これだけのページ数でも、組み立てはプログラムが一度に行います。リンクが切れていないかを確かめるのも、プログラムの仕事です。
つまずきやすいところ
- PDFを直接直してしまう。次に組み直すと、直しが消えます。直すのはいつも原稿です。
- 画面で見るだけで済ませる。売る前に、実際に印刷してみると、余白や文字の大きさの問題に気づけます。
- 形を何度も変える。ヒトリキカクも、途中でA4だけに絞りました。大きさや入れるものは、最初の試作の段階で決めきるほうが楽です。全部組んでから変えると、確かめ直しが大変です。
あなたなら、どうする?
- あなたの手元に、本にできそうな原稿や、人に伝えたい知識はありますか。
- あなたの本は、画面で読まれる本ですか。それとも印刷される本ですか。
- 紙の本ではできない、PDFの本ならではのよさを、あなたならどう生かしますか。
ヒトリキカクが大事にしたこと
正解ではなく、ひとつの例です。あなたのやり方と、くらべてみてください。
- HTMLとCSSで書いた原稿は、プログラムでPDFの本に組み立てられる
- 大きさ・入れるもの・リンク・フォントは、組む前に決める
- まず1章だけ試作して、ページの区切りを中心に確かめる
- 直すときは原稿を直して、組み直す
次の章では、できあがったPDFの本を、BOOTHで売り出したときのことを書きます。