審査は、落ちるものだと思っておく
App Storeに並ぶアプリは、すべてAppleの審査を通っています。はじめてアプリを出す人にとって、ここがいちばん大きな山です。
ヒトリキカクが審査を通して知ったのは、一度で通らなくても、まったくふつうのことだということです。却下されると、理由が書かれたメッセージが届きます。それを読んで直し、出し直せばいいのです。却下は、作り手への「ここを直してください」というお知らせです。
この章も、あなた自身の手で操作する場面がたくさんあります。Appleの管理画面での入力や、提出のボタンを押すのはあなたです。AIには、メッセージの意味を読みといてもらい、アプリを直してもらいます。
出すために必要なもの
- Apple Developer Program への登録:アプリを出すための、Appleの開発者の登録です。年ごとに費用がかかります。
- App Store Connect:アプリの情報を入力して、審査に出すための管理画面です。
- アプリを「本番の形」にする道具:Expoの場合は、EASというサービスで、インターネットの向こうでアプリを組み立ててもらえます。Windowsでも、iPhone用のアプリを作れるのはこのおかげです。
- プライバシーポリシーとサポートのページ:あなたのWebサイトに用意します。第5章・第6章で作ったサイトが、ここでも役に立ちます。
費用と無料の枠について
開発者の登録費や、EASの無料で使える回数は、変わることがあります。公式の案内で確かめてください。EASの無料の枠は多くないので、小さな直しはためておいて、1回の組み立てにまとめるのがおすすめです。
提出から公開までの流れ
- 直して確かめる:AIに、エラーがないかの確認をしてもらう
- 版の番号を決める:はじめてなら 1.0.0。公開したあとに直すときは 1.0.1 のように上げる
- 本番の形に組み立てる:EASでアプリを組み立てる(10〜20分ほど)
- Appleに送る:組み立てたアプリを App Store Connect に送る
- 管理画面で入力して、審査に出す:説明文、画像、各種の質問に答えて、提出のボタンを押す
- 待つ:数日から、ときには1週間以上
- 公開する:審査を通ったら、配信の設定を確かめて公開する
3と4は、ターミナルで命令を動かす作業です。第9章の「黒い画面で聞かれたら」を思い出して、1つずつ進めます。
頼み方の例
提出の画面で求められること
App Store Connect で審査に出そうとすると、入力が足りない項目があれば一覧で教えてくれます。慌てずに、1つずつ埋めていけば大丈夫です。主な項目はこんなものです。
説明文やキーワードの下書きは、AIが手伝えます。プライバシーの質問は、アプリが実際にどんなデータを集めているかを、AIにアプリの中身から確かめてもらってから答えます。広告を入れていれば、集めていないつもりでも、集めていることになる場合があります。
頼み方の例
スクリーンショットの大きさ
画像の大きさは、説明のページに書いてあることより、管理画面が実際に求めている大きさに合わせます。画面に表示された数字をAIに伝えて、その大きさで作ってもらうのが確実でした。iPad向けに作っていないアプリなら、iPadに対応しない設定にしておくと、iPad用の画像を求められなくなります。
却下されたら
- 読むメッセージをそのままAIに見せて、何を求められているかを説明してもらう。
- 直すアプリを直して、組み立て直して、Appleに送り直す。
- 選び直す管理画面で、新しく送ったアプリを選び直してから、もう一度出す。
頼み方の例
3つ目の「選び直す」は、とても忘れやすいところです。直したアプリを送っても、管理画面で選び直さないと、前のものがそのまま審査に出てしまいます。
はじめてのアカウントでは、最初の提出で「追加の情報をください」という連絡が来ることがよくあります。アプリの使い方を説明したり、画面の動画を送ったりします。これも、落ちたわけではありません。聞かれたことに、ていねいに答えれば大丈夫です。
審査を通ったあとの落とし穴
- 公開のボタン:「手動で公開する」を選んでいたら、自分で公開のボタンを押します。
- 価格と配信する国:ここが設定されていないと、審査を通っても公開されません。
- 契約と税金と口座の情報:公開したあとに急に配信が消えたら、まず管理画面に、同意していない契約がないかを確かめます。
- 検索に出るまでの時間:公開されても、App Storeで検索に出るまで数時間から1日ほどかかることがあります。
手順は、AIに書き残してもらう
アプリを公開したあとも、直すたびに同じ手順をくり返します。けれど、数か月たつと、細かいところは忘れてしまいます。だから、一度通った手順は、AIに手順書として書き残してもらいます。
頼み方の例
ヒトリキカクの場合
最初のアプリ「自習室ヒトリキカク」は、2026年9月にApp Storeで公開されました。最初の提出では、追加の情報を求める連絡が来ました。審査の担当の人に動画を送るときは、本文ではなく、返信のところから添付する必要があることも、このとき知りました。
2つ目のアプリ「聴ける手帖」では、使っていないはずのマイクの説明文が入っていて却下されました。音を鳴らすために使った部品が、自動で入れていたものでした。AIと原因を探して取りのぞき、出し直して通りました。審査を通ったのに公開されず、調べると価格と配信する国の設定が抜けていた、ということもありました。いまは、このときの経験をAIにまとめてもらった手順書を見ながら、アップデートしています。
つまずきやすいところ
- 直したのに、同じ却下のメッセージが見える。前のメッセージが履歴として残っているだけのことがあります。日時を見れば、新しいものかどうかがわかります。
- 版の番号を上げ忘れる。公開したアプリを直して出すときは、番号を上げないと提出できません。
- メールを待ち続ける。知らせのメールが来ないこともあります。管理画面で、いまの状態を自分で見にいきます。
- パスワードや確認コードを、AIとのやりとりに書く。Apple IDのパスワードや、届いた確認コードは、自分で入力します。
あなたなら、どうする?
- 却下のメッセージが届いたとき、あなたならどうやって気持ちを立て直しますか。
- 一度で通すことと、早く出して直していくこと。あなたはどちらを大事にしたいですか。
- 次のアップデートのために、あなたならどんな形で手順を残しますか。
ヒトリキカクが大事にしたこと
正解ではなく、ひとつの例です。あなたのやり方と、くらべてみてください。
- 審査は一度で通らなくてもふつう。却下は「ここを直して」のお知らせ
- 直す → 組み立てる → 送る → 管理画面で選び直す → 出す
- プライバシーの質問は、アプリの中身をAIに調べてもらってから答える
- 通ったあとも、公開のボタン・価格と国・契約を確かめる
- 一度通った手順は、AIに手順書として残してもらう
これで第4部「iPhoneアプリを作る」はおしまいです。最後の部では、作ったものを届けて、作り続けるための話をします。