AIは、言われたことしかわからない
AIはとても物知りです。けれど、あなたの頭の中は見えません。誰に見せるページなのか、どんな雰囲気にしたいのか、やってほしくないことは何か。言わなければ、AIはそれらしい答えで埋めてしまいます。
新しく来た助手に仕事を頼む場面を思い浮かべてください。仕事はできる人です。でも、あなたの職場のことは何も知りません。どう伝えれば、思った通りに動いてもらえるでしょうか。AIへの頼み方は、それとほとんど同じです。
ヒトリキカクの「4つの材料」
ヒトリキカクは、頼むときに次の4つを入れるようにしています。全部そろわなくてもかまいませんが、入っているほど、思った通りのものが返ってきました。
- 何を:作るもの、直すもの。「自己紹介のページ」「見出しの色」
- 誰のために:見る人、使う人。「中学生」「同じ趣味の大人」
- どんな形で:雰囲気、大きさ、色、入れることば
- やらないこと:触ってほしくない場所、使ってほしくない色や言い回し
なかでも忘れやすいのが、4つ目の「やらないこと」です。AIは親切なので、頼まれていないところまで「ついでに」直してしまうことがあります。
くらべてみよう
お店の紹介ページをいい感じに作って。
近所の人向けに、パン屋の紹介ページを1枚作ってください。 ・入れること:店名、営業時間、おすすめ3品 ・雰囲気:あたたかい、手書き風 ・スマホで見る人が多いです ・地図はまだ入れないでください
大きな作業は「提案 → 試作 → 確認」
ページを1枚作るくらいなら、頼んですぐ作ってもらってかまいません。けれど、ページが増えたり、作り直しが大きくなったりするときは、いきなり作らせないほうがうまくいく、というのがヒトリキカクの実感です。
- 提案どう作るか、案を出してもらう。まだ作らせない。
- 試作一部分だけ作ってもらう。1ページ、1か所だけ。
- 確認自分の目で見て、よければ全体に広げる。
1. 提案してもらう
頼み方の例
「まだ作らずに」と書くのがポイントです。案を見くらべてから選べるので、あとで「思っていたのと違う」となりにくくなります。迷ったら、「あなたのおすすめはどれですか?」と聞いてもかまいません。
2. 小さく試作してもらう
頼み方の例
全部できあがってから直すより、小さいうちに直すほうが、ずっと楽です。
3. 確かめてから広げる
ブラウザで開いて、思った通りかを確かめます。よければ「この形で、残りもお願いします」。違っていたら、どこが違うかを伝えて、もう一度試作してもらいます。
ヒトリキカクの場合
英文法の参考書「Grammar Note」を作り直したときも、この3拍子で進めました。まずページの作り方の案を出してもらい、1つの項目だけを試作してもらって、見た目と読みやすさを確かめてから、残りの項目に広げました。サイト全体の作りかえのような大きな変更も、いつもこの順番です。
うまくいかないときの頼み方
AIと作っていると、思った通りに動かないことは必ずあります。そんなときに大事なのは、見たままを、そのまま伝えることです。
エラーが出たとき
画面に英語のメッセージが出ても、意味がわからなくて大丈夫です。そのままコピーして渡します。
頼み方の例
見た目がおかしいとき
「おかしいです」だけでは、どこがおかしいのか伝わりません。どの画面で、どこが、どうなっているかを書きます。画面を写した画像(スクリーンショット)を見せられるなら、いっしょに渡すとさらに伝わります。
表示がおかしいです。
スマホで見ると、いちばん上の写真が画面の右にはみ出して、横にずれてしまいます。パソコンでは大丈夫です。
前の状態にもどしたいとき
頼み方の例
直すたびに状態が変わるので、「どこまでもどせるか」は場合によります。大事な作業の前には、「いまの状態を残しておいてください」と頼んでおくと安心です。
決まりごとは、メモに残してもらう
AIとのやりとりは、長くなると最初のほうの話を忘れてしまうことがあります。日をまたぐと、なおさらです。だから、何度も伝えたいことは、フォルダの中のメモに書いておいてもらいます。
頼み方の例
Claude Codeには、フォルダの中にある決まりごとのメモ(CLAUDE.md という名前のファイル)を、作業を始めるときに読んでくれるしくみがあります。毎回同じ説明をくり返さなくてすむようになります。
つまずきやすいところ
- うまくいかないと、頼み方を大きく変えてしまう。まず「何が起きたか」を伝えて、原因を聞くほうが早く直ります。
- 「はい」「OK」だけで進める。AIの案に返事をするときは、どの案で進めるのかをはっきり書きます。
- AIの説明をうのみにする。「直しました」と言われても、自分の目で開いて確かめるまでは、直ったことにしません。
あなたなら、どうする?
- あなたが人に仕事を頼むとき、気をつけてきたことは何ですか。それはAIにも使えそうですか。
- あなたの作品の「やらないこと」を、3つ書き出してみてください。
- 「提案 → 試作 → 確認」のほかに、あなたに合いそうな進め方はありますか。
ヒトリキカクが大事にしたこと
正解ではなく、ひとつの例です。あなたのやり方と、くらべてみてください。
- 頼むときは「何を・誰のために・どんな形で・やらないこと」
- 大きな作業は「提案 → 試作 → 確認」。いきなり全部作らせない
- 困ったら、見たままをそのまま伝える。エラーは貼りつける
- 何度も伝えたい決まりごとは、メモに残してもらう
ここまでで準備の話は終わりです。次の部では、ヒトリキカクがWebサイトをどう作ったかを見ていきます。