Chapter 03

生成AIのミスを減らす強いプロンプト

教育コンテンツで起こりやすい生成AIのミスには、いくつかの典型パターンがあります。 パターンごとに「なぜ起きるか」と「防ぐための指示文」をセットで押さえておきましょう。

3-1典型的なミスのパターン

ミスの種類起きる理由
事実誤り(ハルシネーション)もっともらしい文章を生成する性質上、根拠のない数値や年号を「作って」しまうことがある
学年不適合な語彙・記号対象学年の指定が曖昧だと、未習の専門用語や記号を使ってしまう
計算・数式のミス複雑な計算を一度に済ませようとすると、途中の桁や符号を誤ることがある
用語のブレ複数ページにまたがる制作で、同じ概念に異なる言い回しを使ってしまう
出典の捏造「出典を書いて」と頼まれると、存在しない出典名をそれらしく生成することがある

3-2ミスを防ぐ指示文の型

① 断定を避けさせる

PROMPT数値・年号・固有名詞について、渡した資料に明記されていない内容は断定せず、 「一般的には〜とされる」などの表現を使うか、「要確認」と注記してください。 資料にない内容を、あたかも確定した事実であるかのように書かないでください。

② 計算は途中式を必ず見せる

PROMPT計算を含む例題では、答えだけでなく途中式をすべて記載してください。 最後に、答えを別の方法(逆算など)でもう一度検算し、一致することを確認してから掲載してください。 一致しない場合は、そのページの生成を一度止めて、計算過程を再確認してください。

③ 用語集を先に固定する

PROMPT複数ページを作成する前に、このサイトで使う用語とその表記を一覧化してください (例:「速さ」で統一し「速度」は使わない、など)。 以降の全ページで、この用語一覧に記載した表記に統一してください。

④ 出典は「書けない場合は書かせない」

PROMPT出典や参考文献を明記する場合、実在が確認できるものだけを記載してください。 確認できない場合は出典欄を空欄にするか「出典未確認」と記載し、それらしい書名や著者名を作り出さないでください。

⑤ 学年相応かどうかを自己チェックさせる

PROMPT本文を書き終えたら、対象学年(小学5年生)がまだ習っていない可能性のある漢字・専門用語・ 数学記号が含まれていないか自己点検し、含まれている場合はふりがなを付けるか、より平易な表現に置き換えてください。

⑥ 出力の型をXMLタグ等で明示する

複数ページを一貫した構造で作らせたい場合、出力してほしい構成要素をタグや見出しレベルで明示すると、 ページごとの抜け漏れやフォーマットのブレを防げます。

PROMPT各単元ページは、必ず次の見出し構成にしてください: 1. 学習目標(3行以内) 2. 解説本文 3. 例題(途中式つき) 4. 練習問題(解答は別途トグルで表示) 5. まとめ この5構成のいずれかが欠けているページを作らないでください。

⑦ 「やってはいけないこと」を明記する(禁止事項リスト)

💡 なぜ禁止形が効くのか 「〜してください」という肯定形の指示だけでは、Claudeが良かれと思って付け加えた内容がノイズになることがあります。 特に教育現場では「やって良いこと」より「やってはいけないこと」のほうが明確なケースが多いため、 禁止事項を並べるだけでも出力のブレが大きく減ります。
PROMPT 例:禁止事項リスト次のことはしないでください。 ・教科書に載っていない発展的な内容を、明示なく本文に混ぜること ・未確認の年号・統計・出典を断定的に記載すること ・学年で習っていない漢字にふりがなを付けずに使うこと ・単元ごとに用語の表記を変えること(例:「速さ」と「速度」の混在)

3-3最終チェックをClaude自身に依頼する

すべてのページを作成した後、最後にもう一度「通し確認」をさせることで、ページ間の矛盾を発見できることがあります。

PROMPT全ページを作成し終えたら、以下の観点でセルフレビューを行い、結果を一覧で報告してください。 1. 用語の表記はページ間で統一されているか 2. 各ページの難易度は対象学年に対して一貫しているか 3. 数値・年号に断定的だが未確認の記述が残っていないか 4. リンクやページ間の参照(前の単元へ、など)は正しく機能しそうか
⚠️ それでも残るリスク これらの指示はミスを大きく減らしますが、ゼロにはできません。理科の数値や歴史の年号など、 間違いが致命的になりうる内容は、必ず教員や専門知識を持つ人が最終確認する前提で運用してください。 生成AIは下書きの精度を上げる道具であり、公開前のレビュー工程を代替するものではありません。

3-4専門外の教科で使うときに追加したい指示

自分の専門教科なら「この記述は怪しい」と直感的に気づけますが、専門外の教科ではその勘が働きません。 そこで、専門外教科の教材づくりではClaudeに「自信の度合い」を出力させる指示を追加し、 チェックすべき箇所を人間側が見つけやすくしておくのが有効です。

⑧ 自信度の低い記述に印をつけさせる

PROMPT私はこの教科(この単元)の専門ではありません。 本文中で、断定はしているが専門家の確認が特に望ましい記述には、文末に[要専門確認]と付記してください。 一般的によく知られている内容には付記は不要です。

⑨ その教科の「相場観」を先に聞く

専門外の教科では、そもそもどんな用語・表記ルールが一般的なのか分からないことがあります。 本文を書かせる前に、その教科の慣習をClaudeに一度尋ねてしまうと、後工程の手戻りが減ります。

PROMPT本文を書く前に、この教科でよく使われる用語の表記ルールや、 学年ごとに一般的に習う順序について、簡単に教えてください。 それを踏まえて構成案を作ってから、本文の執筆に進んでください。

⑩ レビュー担当者への申し送り事項を作らせる

専門外教科の教材は、最終的に専門の同僚に見てもらう前提で運用すると安心です。 その際、どこを重点的に見てほしいかをClaudeにまとめさせておくと、レビューの負担を減らせます。

PROMPT全ページ完成後、この教科の専門教員にレビューを依頼する際の申し送りメモを作成してください。 [要専門確認]を付けた箇所の一覧と、特に慎重な確認をお願いしたい理由を簡潔にまとめてください。
💡 専門教科・専門外教科、どちらでも手順は同じ ここまでの指示はすべて、専門教科の教材づくりに使ってもまったく問題ありません。 違うのは「どれだけ厳格に使うか」だけです。専門外教科では①〜⑩の指示を一通りフルセットで使い、 専門教科では経験則で判断できる部分を省略する、という使い分けが現実的です。